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気まぐれ本虫―きまぐれぼむ―
蔵書を気まぐれに紹介する、 エッセイ風味雑感 and 備忘録
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 ■ 恐怖の都・ロンドン
恐怖の都・ロンドン恐怖の都・ロンドン
スティーブ・ジョーンズ/筑摩書房 1997-05
定価:940円(税別)

 何年前だったか、本屋の棚に並んでて面白そうだったので買ったうちの一冊。いわばロンドンの心霊スポットご案内本。特にこの本では犯罪に関する記述が中心。もっと言うなれば、かの有名な『切り裂きジャック』(Jack the Ripper)が内メインか。全体的に見れば後味悪いことこの上ないが、好きな人にはたまらない。私もその一人。
 現イギリスの首都ロンドンという街は遡ればローマ時代から登場する歴史の古い街で、多くの人間が移り住んだ場所となれば、もちろん血生臭い歴史も多い。英国史を触りでやっただけでも、かなり多くの人間が殺されたり云々というのはよくわかると思うが、本書ではそれ以上に深く深く、どんな事件があってどんな人物が被害にあったのか、誰が真犯人なのかと順を追って説明してある。その中で切り裂きジャックにページを割いているのは当然と言えるかも知れない。使い古された言葉だが「イギリス史上他に類を見ない猟奇殺人」であり「劇場型犯罪の祖」とも言われるものだから。祖になるのならもっと明るいことがいいなあという私的意見は置いといて、他の切り裂きジャック研究本にもあるように、この本にも発見された当時の遺体の写真などが掲載されているので、心臓の弱い人、グロテスクなものは受け付けない人は、もし読みたいのであれば、ページを飛ばすなり何なりして用心してほしい。
 しかしこの本、ただの犯罪研究・紹介本と一線を画している要因は、あくまで先に挙げた「心霊スポット案内」であるという点。ロンドンは心霊スポット巡りなんてものを観光ツアーで用意しているほどの街なのでそりゃもう至るところに「出る」のだが、ただ「出る」というのがわかっているだけでは面白くない。よく夏になるとテレビや雑誌で取り上げられる日本の心霊スポット案内もそうだが、ただ「出る」と言われるよりも「どうして出るのか」「いったい何があって『出る』ようになったのか」を知ると、ますます興味が湧いてくる。本書も幾分その要素が強い。さらに何がよろしいといえば下手にK峠とかN市とぼかしてあるのではなく、その地名や場所がそのまま実名で書かれているところか。きちんと「ガイドブック」という地位を保っているという点では心霊スポット案内本としては上級だろう。
もちろんそれだけではなく、栄華極めし頃のロンドン(と言うとイギリス人に怒られるか)の牢獄生活や下町の暮らしにも触れてある。ただメインが「怪奇事件」ということで少々陰は薄い。その二方向なら同著者の、ロンドンのいわゆるダークサイドについては「鍵穴から覗いたロンドン」、受刑者の生活や監獄そのものについては「罪と監獄のロンドン」の方が詳しい。
 とにかくこちらは事件と心霊スポット中心。ロンドンに赴いた際にはこの本片手に独自で巡ってみるのも面白いかもしれない。
 そう言っても自他共に認める怖がりの私は実際巡ってみようなどという気にはさらさらなれなかったのだが。帯にある言葉よろしく、一生大人しく「アームチェア・トラベラー」のままでいたい。
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 ■ からだを読む
からだを読むからだを読む
養老孟司/筑摩書房 2002-09
定価:714円(税込)

 「養老孟司っていったら『バカの壁』でしょ。何この本」と思われるかもしれないが、断然私はこの本を推す。何でって、面白いからに決まってる。
 解剖学のエッセイ、という分類らしいが、はっきりいうと、完全に解剖学入門のような本だ。よってそこかしこに断面図・解剖図がある。専門用語もばかすか出てくる。読んでるうちに退屈してしまいそうな、至極真面目な話ばかり書いてある。いや、話というのもおかしいかな。肉体の解説が書いてある、に訂正。
 口から始まり肛門で終わる人間の消化器官にスポットを当て、その働きや機能を詳しく述べている。もう本当にそれに終始して、たまに寄り道話を挟んで、ただひたすら肛門を目指す。それだけの本。授業で聞いたら、よほど熱心にしていない限り眠ってしまうね。断言できる。
 しかし、本で読むと違ってくるんだ、これが。ものすごくストレートに頭の中に入ってくる。「読む」という行為ですでに集中させられてたのか、と気付いたのはあとがきまでしっかり読んだあとだった。
 読んでる間中、耳元で誰かが「ねえ、すごいでしょ。人間の体ってすごいでしょ」と言うのを延々聞きながら、小さなポッドに乗って体の中を旅している感覚に襲われ、息もつかず読んでしまった。集中力続かない方なのに、と言ってみても遅い。読んじゃったんだから。
 なぜ医学部に行かなかったのかといまさらながら後悔した。

 おかげで、この本を読んで以来、自分の体が気になって気になってしょうがない。物を噛めば「今ここが動いてるんだな」と意識をやり、飲めば「今、胃のここら辺を通過したな」と考え。
 何だかありがちな表現で申し訳ないけど、この一言に尽きる。生物の体は芸術だ。最高の芸術だよ。
 一つ残念なことがあるとすれば、著者がこれの続きを書く暇がないと言っていることか。この調子で循環器等も読みたかったんだけど。
 生まれ変わったら書くとのこと、失礼を承知の上で、早く生まれ変わってくれないものだろうかと思わずにはいられない。

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