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気まぐれ本虫―きまぐれぼむ―
蔵書を気まぐれに紹介する、 エッセイ風味雑感 and 備忘録
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 ■ イギリス不思議な幽霊屋敷
イギリス不思議な幽霊屋敷イギリス不思議な幽霊屋敷
桐生操/PHP研究所 1997-08
定価:519円(税込)

 あれよと言う間に一年近く。2008年はもう少し書きたいところ。
 そして一年近く経ってぐるっと元に戻り、前回に引き続きこんな本をご紹介。今回はオカルトチックなミステリ方面。怖がりなんじゃないのかって聞きたい人には「怖いもの見たさ」。怖いんだけど見てみたい。見てみたいけどやっぱり怖い。私、学習能力のない人間のようで。
 どうもイギリスと日本の「オカルト」というものは似ている気がしてならない。それが同じ島国だからなのか、もっと深い理由があるのか。アメリカでは幽霊もさることながら「それは宇宙人の仕業だった」って方が多いような。それと同様にイギリスでは、不可思議なことは「実は妖精が」「実は幽霊が」といったところ。この辺「それは実は妖怪がしたことだったのです」という日本と感性が似ている(気がしないでもない)
 枕がひっくり返ってるのが枕返しのせいだったら、私なんて日常的にやられてるわけだけど。目が覚めたら、枕が部屋の隅にあったなんてことも。

 それはさておきこの本。やや想像に過ぎてる感は否めないものの、こんな事件がという紹介にはもってこいの本。むしろ、さらりと流されている部分から「もしかしたらこうなんじゃないか」とこちらの素人推理を掻き立てるような感触があった。もちろん、紹介されている事件はどれも解決したとは言えない事件ばかりで、結局は曖昧であるというところがそうさせるのだと思うが。
 中でも密使バサーストが馬車を待たせたまま忽然と姿を消した事件、そしてアイリーン・モア島の消えた灯台守たちの話。バサーストの件は、どこかで同様のミステリを読んだ気がするんだけどちょっと失念。これは約50年後にもしやと思わせる証拠物件(骨)が挙がっているのだが、当時の捜査技術では特定できなかった例。今ならDNA鑑定で特定でき、被疑者死亡で送検……なんて有難くもミステリには欠けるものになっていたかもしれない。
 まあ、現代の最新技術をもってしても迷宮入りというものも多いのだから、解決できたかは可能性半々というところか。
 それに対し、どこかぞくりとさせられるのがアイリーン・モア島の事件。話にだけは聞いていたが、消えた灯台守たちが書いた日誌の内容を知り、ますます怖さが押し寄せてきた。あったはずのない嵐、そして言葉少なげに語られる本人たちの様子。そしてそこからは一切理由が見えてこない失踪の謎。
 孤島の灯台という密室で起こった事件というのは、不思議さと同時にどこか恐ろしさをもって語られる。当時騒ぎになったであろうその状況を取り巻く空気に、100年の時を経て触れたような気になった。
 私としては、何らかの禁断症状か精神的なパニックから起こった事件と見たいが、他の人ははてさて。
 それから某RPGの一イベントを彷彿とさせる呪われたミイラとタイタニック号の話。こちらは検索でもかなりの結果が得られるはずなので興味のある方はどうぞ。
 まあ、呪われても文句は言えないのだけど。ミイラを取り出した人は。文化研究的墓荒らしというところか。しかしその人たちのおかげで古代の謎が解けたり、わくわくするようなロマンがやってきたりするのだからどうしたものか。折り合いの難しいところだね。

 本書に対して最後にただ一つ。ラストの章まで幽霊屋敷関係でぎっしり埋めてほしかったなあと要望を。
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 ■ オーケストラ楽器別人間学
オーケストラ楽器別人間学オーケストラ楽器別人間学
茂木大輔 /新潮社 2002-08
定価:552円(税別)

 高校の時に吹奏楽部に入部してクラリネットを始めてから早十年。大学に進みブラスバンドに入ろうとしたが、休みの少なさに絶望を味わい断念、オケ部に入ろうと考えるも、目立ちたい精神が「バイオリンより後ろで演奏するなんて嫌。一番前じゃなきゃ嫌!」と反乱を起こして入部せず、さすらいの時雨クラリネッター(?)に。
 そんな経歴を持つ私は、もちろん真っ先にクラリネットの項を熟読しましたとも。

 著名な音楽家である著者の素晴らしい(というよりどこか違う次元に行きかけている)想像力が溢れんばかりに詰まった人間観察?本。「茂木さんって誰よ」って人でも「『のだめカンタービレ』の取材協力者だよ」と言えばわかる人もいるはず。
 まず、とにかく文章のリズムがいい。常日頃からリズムに囲まれているせいなのか、はたまた天性の才能なのか。天は二物を与えずなんて嘘っぱちこの上ない。こうやって、いっぱい与えられてる人もいるもんだ。
 内容はといえば、しょっぱなから熱い決めつけに基づいた、楽器別履歴書なんてものが書かれている。この楽器をやるのはこういう人、というのは今まで何度か耳にしてきた気もするが、ここまで事細かに、そして独断と偏見でばんばん当てはめていくさまは痛快以外の何者でもない。興味深さの面白さではなく、本当に笑いを誘う面白さ。それなのに、笑うだけではなくて「ああ、わかる」と納得してしまう妙な説得力。いったいこの本にはどんな力が宿ってるんだろうか。
 いや、でも納得するのもわかってほしい。バイオリンなんて何度も買い換えなきゃいけない楽器、お金がなかったらできないよ。かなりあてずっぽに書いているように見えて、その実、きっちりと音や楽器の特色から割り振っているのに気付けば、妙な説得力の正体も見えてくる。
 こういう人間だから、こういう楽器を選択する。こういった楽器をやっているうちに、こういう人間になってくる。アプローチの方法はひとまず置いといて、何よりその論理に、音と人間は切り離せない絆で結ばれているのね、とつくづく考えさせられた。音がない環境で人間なんて育たないのね。

 ところで私、適正チェックでもものの見事にクラリネット。私がクラリネットを選んだのか、はたまたクラリネットが私を選んだのか。真相はわからないが、本書を読んでいるうちに、もうあの時、私にはクラリネットを選ぶより他に選択肢はなかったかのように思えてきた。クラリネット万歳!
 まったく書評になっていないことに今気付いたが、まあよしとしよう。とにかくお勧め。

 ■ お江戸吉原ものしり帖
お江戸吉原ものしり帖お江戸吉原ものしり帖
北村鮭彦/新潮社 2005-08
定価:540円(税込)

 1987年出版の「吉原ホログラフィー」(北村一夫名義/六興出版)の改題だとか。そちらは未読。
 吉原という単語に反応して「さぞピンクなことが」と想像して読んだら絶対に損をする。でも「吉原っていったい何だったの?」という疑問のベールを剥がすには、お釣りが来るほど役立つ本。
 遊女ネタを書こうかしらなんて思って、基礎知識のために購入したけど返り討ちにされた。とんでもない集団だわ、吉原って。現代人の想像の斜め上をいってる完全な異世界。自分の常識がまったく通用しない、それをまざまざと見せつけられた気分だ。
 そしてそう感じた通り、あまりにも専門用語(?)が多いので、注釈がなければきっと読み進められなかっただろうと。落語やらに慣れ親しんでいる人は、きっと「ああ、アレね」で済むものかもしれないが、私の場合、そういったものをとんと聴かない上に知識が一般レベル以下なので、注釈を読みつつ頭の中でこなしつつ、ようやく読み終わったというのが本当のところ。揚屋差紙と言われても、一瞬何のことだかさっぱりわかりませんがな。

 そういうわけで、一周目はとにかく単語の意味を探り、二周目で何とか文章を把握、三周目にしてようやく「楽しんだ」レベルになった。
 風習やら服装やら、どれも一筋縄ではいかない世界ではあるけれど、それを一つずつ解説してくれるからまた嬉しい。各章の間々に挟まっている「一口話」では、有名な遊女さん(といっても私は知らない)の紹介もしてくれる。
 もちろんメインは、その歴史や構造、遊び方、内輪話と内容盛りだくさん。「こんな客は嫌われる」なんて、思わず「そりゃそういう奴はいかんよなあ」と頷いてしまうところもあり、客をつなぎとめようとする遊女の気合としたたかさに思わず噴出したりと、まったく飽きさせない。こんな膨大な情報をこの一冊に詰め込んだ著者の腕に感服。
 ただ、読んでいると「男って間抜けだなあ」と思わずにはいられなかったりして。もちろん遊びの範疇で、と申し訳程度に付け加えておくけど。

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