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気まぐれ本虫―きまぐれぼむ―
蔵書を気まぐれに紹介する、 エッセイ風味雑感 and 備忘録
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 ■ オーケストラ楽器別人間学
オーケストラ楽器別人間学オーケストラ楽器別人間学
茂木大輔 /新潮社 2002-08
定価:552円(税別)

 高校の時に吹奏楽部に入部してクラリネットを始めてから早十年。大学に進みブラスバンドに入ろうとしたが、休みの少なさに絶望を味わい断念、オケ部に入ろうと考えるも、目立ちたい精神が「バイオリンより後ろで演奏するなんて嫌。一番前じゃなきゃ嫌!」と反乱を起こして入部せず、さすらいの時雨クラリネッター(?)に。
 そんな経歴を持つ私は、もちろん真っ先にクラリネットの項を熟読しましたとも。

 著名な音楽家である著者の素晴らしい(というよりどこか違う次元に行きかけている)想像力が溢れんばかりに詰まった人間観察?本。「茂木さんって誰よ」って人でも「『のだめカンタービレ』の取材協力者だよ」と言えばわかる人もいるはず。
 まず、とにかく文章のリズムがいい。常日頃からリズムに囲まれているせいなのか、はたまた天性の才能なのか。天は二物を与えずなんて嘘っぱちこの上ない。こうやって、いっぱい与えられてる人もいるもんだ。
 内容はといえば、しょっぱなから熱い決めつけに基づいた、楽器別履歴書なんてものが書かれている。この楽器をやるのはこういう人、というのは今まで何度か耳にしてきた気もするが、ここまで事細かに、そして独断と偏見でばんばん当てはめていくさまは痛快以外の何者でもない。興味深さの面白さではなく、本当に笑いを誘う面白さ。それなのに、笑うだけではなくて「ああ、わかる」と納得してしまう妙な説得力。いったいこの本にはどんな力が宿ってるんだろうか。
 いや、でも納得するのもわかってほしい。バイオリンなんて何度も買い換えなきゃいけない楽器、お金がなかったらできないよ。かなりあてずっぽに書いているように見えて、その実、きっちりと音や楽器の特色から割り振っているのに気付けば、妙な説得力の正体も見えてくる。
 こういう人間だから、こういう楽器を選択する。こういった楽器をやっているうちに、こういう人間になってくる。アプローチの方法はひとまず置いといて、何よりその論理に、音と人間は切り離せない絆で結ばれているのね、とつくづく考えさせられた。音がない環境で人間なんて育たないのね。

 ところで私、適正チェックでもものの見事にクラリネット。私がクラリネットを選んだのか、はたまたクラリネットが私を選んだのか。真相はわからないが、本書を読んでいるうちに、もうあの時、私にはクラリネットを選ぶより他に選択肢はなかったかのように思えてきた。クラリネット万歳!
 まったく書評になっていないことに今気付いたが、まあよしとしよう。とにかくお勧め。
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