気まぐれ本虫―きまぐれぼむ―
蔵書を気まぐれに紹介する、
エッセイ風味雑感 and 備忘録
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■ 図説 拷問全書
![]() | 図説 拷問全書 秋山裕美/筑摩書房 2003-04 定価:1,155円(税込) |
こんな本読むなんて趣味悪いんじゃないの?と言われそうだけど、興味があったら読む。それが信条なのであしからず。
1997年に原書房から出版された同タイトルの文庫版。なぜちくまからなのか。そこんとこ気になるんだが、書店で見つけたので思わず買ってしまった。
私が初めて読んだのは前出のハードカバーで、これがまた人を殺せそうなくらい分厚いの。大学の図書館で読み続けたわけだが、目が疲れるより先に腕が疲れた。しかも足に落とすという泣きっ面に蜂。この本、絶対何かあるに違いない。
それはさておき注意をするとすれば、想像力の豊かな人は読まない方がいい。読んでるだけで痛くなってくるから。
主に中世~近世ヨーロッパの拷問を図と併せて紹介しつつ、こんな罪はこんな拷問を受ける羽目になりますよと嫌がらせかと思うほど、たいへん丁寧に詳しく解説してくれている。私はどちらかと言えば想像力の足りない人間だけれど、話が進むにつれ、拷問を受けたと書かれている箇所がじりじりと痛み出し、「もう嫌、もう読みたくない。でも読みたい」と葛藤を繰り広げながら読んだ。それくらいきっちりと拷問の話。内容は見事なまでにそれだけ。
だから、内容について「こんなのもあるよ」と挙げれば、ただ拷問方法を並べるだけになってしまうんだが、逆に言えば、たったそれだけの内容でここまで分厚い本が出るということは、それだけ世の中に拷問というものが多く存在するということなんだろう。
この本で一番恐ろしいのは、そんな現実を目の当たりにしてしまうことなのかもしれない。
もちろん、知識として詰め込むには最高の一品。恐怖と痛みに苛まれつつ、それでも知識を得る快感を味わえてしまう奇書。
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■ 公爵(ウェリントン)と皇帝(ナポレオン)
![]() | 公爵(ウェリントン)と皇帝(ナポレオン) ジョン・ストローソン/新潮社 1998-10 定価:2,500円(税別) |
センター試験で世界史67点という芳しくない成績を取った身ではあるが、歴史そのものにはとても興味がある。
そういうわけで大学に進んでのち、英国史の講義を選択した時に先生に薦められて読んだのがこの本。ナポレオン関連の書籍は数あれど、ウェリントンの詳細が載ってる本は珍しいよ、と差し出され「このほっぺの赤い坊ちゃん面がウェリントンか」というのが第一印象。今思えばなんて失礼な一言を。
中身はかの有名なワーテルロー(ウォータールー)の戦いで雌雄を決した二人の生い立ちとか人生とか。歴史考察と偉人伝を混ぜたような感じで、すいすい読めてしまう。気持ちいいなあ。
読むまでウェリントンとナポレオンが同じ歳だってことすら知らなかった私は、この本を読んで「はあ」とか「へえ」とか、そんな情けない感動の言葉しか出てこなかった。やはり、歴史に名を残す人ってのは違うのね。至極一般人の私にはとうてい真似できないような人生だ。
世界史の授業で18世紀後半ヨーロッパといえば、やはりナポレオン中心で話が進んでしまうわけだけど、これはどちらかというとウェリントン寄り。著者が英国の軍人だそうで、無理もないかなと言ったところ。それでウェリントンが先に名前が挙がってるんだな。
だが、それが逆にこの本に他にはない色をつけている。何がすごいって、まるで見てきたかのような戦略解説の数々。相手がこう出るならこちらはこうだと言わんばかりの、ウェリントンとナポレオンそれぞれの頭の切れの見せ所がばっちりしっかり書いてある。
くさい宣伝文句をつけるなら「名将とはかくあるべきである」といったところか。
あと際立つのがライバル関係。今まで色んな本でいわゆる「ライバル」って人たちを見てきたけれど、ここまで清々しいライバル関係というのはなかったと思う。ゆえに、読んでいると俄然燃えてくる。(これは著者の思惑にはまった典型かもしれないけど、面白いからそれでいいの)
「歴史関係なんて興味ないね」という人には「ライバルのバトル本です」と言って読ませても差し支えない、そんな熱い一冊。
■ 名前の日本史
![]() | 名前の日本史 紀田順一郎/文藝春秋 2002-09 定価:693円(税込) |
小難しそうな本だな、根を詰めて読まなきゃと意気込んで読み始めたら、意外と簡単だった。もちろんほめ言葉。筆者の丁寧かつ回りくどくない説明の賜物か。
私自身、なかなか特異な名前であるので、昔から名前の本というのには興味があるんだけど、どうもどれもこれも難しいのね。
ただ例を挙げてああだこうだと言われても、基礎知識がないもんだから理解することができない。本当に民俗学を専攻している人じゃないとわかんないんじゃないの?と思うことたびたび。
この本も「日本史」という非常に閉鎖的な一言があるわけだけど、ここで触れられている日本史ならば、中学の歴史の授業で習った分で十分。
「こういう名前はこういう歴史背景から生まれたんだよ」
「その歴史背景っていうのはね(以下詳細)」
そうやって、民俗学の先生と日本史の先生が二人がかりで教えてくれている感じ。お勉強のすっぽ抜けた私の脳みそでも十分理解できるレベルだ。
そして根絶丁寧にそもそも名前とは何か、どのように変わってきたのかと教えてくれながら、時間の流れは古代から現代へ。昨今の当て字系の名前はなぜ出てきたのか、一時期メディアを賑わせた「悪魔ちゃん」とは何だったのか。
そんなことにも言及しつつ、世界で類を見ないほど多種多様な日本人の名前というもつれた糸をきれいにまとめてくれる本。
字を追っていくうちに、おのずと頭の中に「日本人の名前とは」というカテゴリーができてしまう。
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備忘録兼感想ブログ
不定期垂れ流し中
話がよく脱線する
感想文になってない
ただ書きたい、それだけ
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書き手:

みや/女性

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どんな人:
本のタイトルを覚えないがゆえに、持っている本を再び買ってしまうという悲しい脳みその持ち主。
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