忍者ブログ
気まぐれ本虫―きまぐれぼむ―
蔵書を気まぐれに紹介する、 エッセイ風味雑感 and 備忘録
 ■ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 ■ シャーロック・ホームズ 呪われた館
シャーロック・ホームズ呪われた館
ゲイリー・グレイディ/二見書房 1986-12
定価:1,950円(税込)

 古本屋で見つけてすぐさま買ってしまった。だってもう絶版なんだもの。しかも1000円。おおお、私には5000円出しても惜しくない代物だよ!と大興奮してしまった。さぞかし怪しい客だったろうと。

 スコットランドヤードの警官1ダースより役立つと評判のBSI(not シャーロキアン本部)一員となって事件を解決していくゲームブック。
 しかし、たかがゲームブックと侮ることなかれ。読み込んで、何度も事件をさらって、考えに考えてようやくクリアした。間違いなく、読み終えるのに一番頭を使った本だ。もちろん、それだけの時間をかけるだけの価値はある。
 内容は表題の「呪われた館の謎」他四篇の事件。読んでいるだけでもホームズの世界にぐんぐん引き込まれていく。私も初めはぱらぱらっと読むだけにしようとしたが、読んでいるうちにどんどん事件の真相が気になっていき、紅茶王殺害事件を三分の一ほど読み進めたところで頭を切り替えた。あとは前述の通り。
 「そんな時間はない」というせっかちさんは、読むだけでも十分楽しめると思う。ただ、地区ごとの情報が連続して書いてある形式なので、頭の中で整理しながら読まないとちんぷんかんぷん、いったいどんな事態なのかわからないのが難点か。でもゲームブックだものね。ゲームブックに慣れてない人は、かなりの時間がかかる可能性大。事実、私もゲームブックなんて、二十年ほど前に読んだゾロリ先生しかないだよ。
 そんなわけで、色んな意味で楽しめる一冊。
 また、謎を解く手がかりとして、当時のロンドン市街地図やロンドンタイムズなんて素敵なおまけもついていて、資料としての価値も高い。現在のロンドン地図と見比べて、変わったところを見つけるのもなかなか楽しい。
 さらにマニアックな楽しみ方として、随所に挿入されてるパジェット氏の挿絵を見つつ、「これはあの話の挿絵だな」と当てはめていく、という遊びも挙げておこう。各出版社から出されている聖典を辺りにちらかして、あれでもないこれでもないとパズルを完成させていく。なんて贅沢な時間の過ごし方だろう。

 シリーズとしては二作目で、第一作目「10の怪事件」、第三作目「死者からの手紙」は未入手。どこかないだろうかと、今日も古書店を巡る旅。
PR

 ■ からだを読む
からだを読むからだを読む
養老孟司/筑摩書房 2002-09
定価:714円(税込)

 「養老孟司っていったら『バカの壁』でしょ。何この本」と思われるかもしれないが、断然私はこの本を推す。何でって、面白いからに決まってる。
 解剖学のエッセイ、という分類らしいが、はっきりいうと、完全に解剖学入門のような本だ。よってそこかしこに断面図・解剖図がある。専門用語もばかすか出てくる。読んでるうちに退屈してしまいそうな、至極真面目な話ばかり書いてある。いや、話というのもおかしいかな。肉体の解説が書いてある、に訂正。
 口から始まり肛門で終わる人間の消化器官にスポットを当て、その働きや機能を詳しく述べている。もう本当にそれに終始して、たまに寄り道話を挟んで、ただひたすら肛門を目指す。それだけの本。授業で聞いたら、よほど熱心にしていない限り眠ってしまうね。断言できる。
 しかし、本で読むと違ってくるんだ、これが。ものすごくストレートに頭の中に入ってくる。「読む」という行為ですでに集中させられてたのか、と気付いたのはあとがきまでしっかり読んだあとだった。
 読んでる間中、耳元で誰かが「ねえ、すごいでしょ。人間の体ってすごいでしょ」と言うのを延々聞きながら、小さなポッドに乗って体の中を旅している感覚に襲われ、息もつかず読んでしまった。集中力続かない方なのに、と言ってみても遅い。読んじゃったんだから。
 なぜ医学部に行かなかったのかといまさらながら後悔した。

 おかげで、この本を読んで以来、自分の体が気になって気になってしょうがない。物を噛めば「今ここが動いてるんだな」と意識をやり、飲めば「今、胃のここら辺を通過したな」と考え。
 何だかありがちな表現で申し訳ないけど、この一言に尽きる。生物の体は芸術だ。最高の芸術だよ。
 一つ残念なことがあるとすれば、著者がこれの続きを書く暇がないと言っていることか。この調子で循環器等も読みたかったんだけど。
 生まれ変わったら書くとのこと、失礼を承知の上で、早く生まれ変わってくれないものだろうかと思わずにはいられない。

 ■ お江戸吉原ものしり帖
お江戸吉原ものしり帖お江戸吉原ものしり帖
北村鮭彦/新潮社 2005-08
定価:540円(税込)

 1987年出版の「吉原ホログラフィー」(北村一夫名義/六興出版)の改題だとか。そちらは未読。
 吉原という単語に反応して「さぞピンクなことが」と想像して読んだら絶対に損をする。でも「吉原っていったい何だったの?」という疑問のベールを剥がすには、お釣りが来るほど役立つ本。
 遊女ネタを書こうかしらなんて思って、基礎知識のために購入したけど返り討ちにされた。とんでもない集団だわ、吉原って。現代人の想像の斜め上をいってる完全な異世界。自分の常識がまったく通用しない、それをまざまざと見せつけられた気分だ。
 そしてそう感じた通り、あまりにも専門用語(?)が多いので、注釈がなければきっと読み進められなかっただろうと。落語やらに慣れ親しんでいる人は、きっと「ああ、アレね」で済むものかもしれないが、私の場合、そういったものをとんと聴かない上に知識が一般レベル以下なので、注釈を読みつつ頭の中でこなしつつ、ようやく読み終わったというのが本当のところ。揚屋差紙と言われても、一瞬何のことだかさっぱりわかりませんがな。

 そういうわけで、一周目はとにかく単語の意味を探り、二周目で何とか文章を把握、三周目にしてようやく「楽しんだ」レベルになった。
 風習やら服装やら、どれも一筋縄ではいかない世界ではあるけれど、それを一つずつ解説してくれるからまた嬉しい。各章の間々に挟まっている「一口話」では、有名な遊女さん(といっても私は知らない)の紹介もしてくれる。
 もちろんメインは、その歴史や構造、遊び方、内輪話と内容盛りだくさん。「こんな客は嫌われる」なんて、思わず「そりゃそういう奴はいかんよなあ」と頷いてしまうところもあり、客をつなぎとめようとする遊女の気合としたたかさに思わず噴出したりと、まったく飽きさせない。こんな膨大な情報をこの一冊に詰め込んだ著者の腕に感服。
 ただ、読んでいると「男って間抜けだなあ」と思わずにはいられなかったりして。もちろん遊びの範疇で、と申し訳程度に付け加えておくけど。

PREV NEXT



 ■ アバウト
ここなに:
備忘録兼感想ブログ
不定期垂れ流し中
話がよく脱線する
感想文になってない
ただ書きたい、それだけ
書き手:
pro
みや/女性
どんな人:
本のタイトルを覚えないがゆえに、持っている本を再び買ってしまうという悲しい脳みその持ち主。

 ■ ブログ内検索
 

 ■ メールフォーム

 ■ 最新トラックバック

 ■ リンク
お気に入り
書の館
たゆまないさん
ひろりの読書記録
ひろりさん
フロムナウ
Yamanaka Hiyokoさん
やさしい読書感想文
ふじふじさん
おひまつぶし
末蔵さん

お役立ち
Amazon.co.jp
G-Tools


 ■ QRコード


忍者ブログ[PR]